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~♪
小さく自分の口から漏れる声。
擦れてしまって今にも消えてしまいそうな声だけど、不思議と耳に届いた。
楽しい曲を思い浮かべるのに、口から零れるのは悲しい曲ばかり。
せめて歌だけでも幸せに終わるものを歌おうと思ったのに、涙を誘うものばかりで可笑しくなる。
おぼつかない足取りで会社を出て、不意に空を見上げると月が見えた。
ビルの隙間から見えるそれは、すぐに雲に隠れて見えなくなった。
だけど、それでいいと思った。
今は綺麗なものとか、心を動かすものを見たくない。
必死に保っているこの心を動かしたくない。
コツコツとゆっくりと足を前に出す。
家に帰るつもりだったのに、辿り着いたのは会社の近くにあった公園。
以前、彼に桜をプレゼントされた場所。
誰もいないそこに一人立った瞬間、胸を突き上げるほどの痛みが湧きあがった。
あの日の思い出が一気に走馬灯の様に流れて、目頭が熱くなる。