「うまくいかないね」

「――」

「こんなにも、好きなのにね」


ポツリと呟いて、項垂れる。


好き。

ただ、あなたが好き。


もう、受け取ってくれる事もないけど。

もう、伝える事もできないけど。


「好きだって、伝えればよかった」


気持ちを伝える事なく、終わってしまった。

まるで春風の様に、あっという間に吹いて消えてしまった。

涙だけ、残して。


「ゴメン、萌」

「ん?」

「もう一回だけ、泣かせて」


必死に持ち上げた頬で、萌の顔を見つめる。

すると、瞳を歪めた萌が強く私を抱きしめた。

甘い彼女の香りが、胸いっぱいに広がって涙が零れる。


「・・・・・・ありがとう。萌」



ねぇ、届いていましたか?

溢れる程の『好き』は、届いていましたか?



――――流れた涙は私の頬に道を作って、消えた。