「だから別れにも意味があるって、私は思う」
「――」
「この柚葉の涙が、いつかは柚葉の為になるよ」
真っ直ぐに向けられた言葉に、ポロリと涙が頬を伝った。
「この・・・・・・気持ちも?」
込み上げる涙にも意味があるの?
息もできない胸に痛みにも?
狂ってしまいそうな心にも?
私達が出会った事にも?
初めて出会った時にはもう、彼の笑顔も話す声も何もかも私のものではなかったのに――?
「今は辛いけど、きっと思い出になるよ。ただの楽しかった思い出に」
萌の言葉を聞いて、一度強く瞳を閉じた。
見えたのは、緑の中で笑う、彼だった。