「もう、会えないんだって・・・・・・」
擦れた声と共に、涙が落ちる。
ポタポタと地面に雨を降らせていく。
もう、会えない。
言葉にした瞬間、ナイフの様に胸に突き刺さった。
息も出来ないほど、胸が締め付けられた。
「こんなにも好きなのに、もう会えないんだって」
「柚葉・・・・・・」
「会いたいよっ。声が聞きたいっ。抱きしめてほしいっ。顔を見れるだけでいいの。それ以上は何も望まないからっ。私から彼を奪わないでっ」
生きていけないと思った。
彼がいなくなった世界では、息も満足にできない。
彼と出会う前の生活になんて戻れない。
思い出せないほど、空っぽだったから――。
本当にこんなに人を好きになれる事ができるんだって、今の今まで気づかなかった。
初めてとことん惚れた人だから、愛した人だから、忘れる事なんてできない。
できるはずがない。