「この後、どうする予定?」

「・・・・・・えっと、たぶんパーティーが終わるまで、ここで待ってます」

「だったらさ、2人で抜けない?」


真っ直ぐに前を向いたまま告げられた言葉に、息を止める。

微かな期待が胸を覆って、時が止まる。


「・・・・・・え?」


首を傾げて問いかける。

ドクドクと脈打つ心臓の音に耳を傾けながら。


すると、夜景に目を向けていた瞳が、ゆっくりと私の方に移動してきた。

まるでビー玉の様なその瞳が、私を映して鍵をかける。

目を逸らす事ができない。



「この後、二人で飲みに行かない?」


そう言われた瞬間、フワフワとまるで浮いている様な感覚に陥って、思わずソファーの背もたれを強く掴んだ。

そして――。


「はい」


まるで魔法にかかった様に、私は頷く事しかできなかった。