衣擦れの音と、互いの熱い吐息が聞こえる。

恥ずかしいからと言って彼にかけてもらったシャツも、いつの間にかソファの下に落ちていた。


もどかしかった。

彼との間にある何もかもが、もどかしかった。

彼の体温を、直に感じていたかった。


「――んっ」


寒かった体もいつしか熱くなり、汗ばみ始める。

目が合う度にキスをして、抱きしめあう。

上になって、下になって、互いの体を絡め合う。

ただただ我武者羅に、求め合った。


「綺麗だ」


私の上で揺れる彼が、ビー玉みたいな目を細めてそう言った。

もはや声を発する事もできなかった私は、そっと口元に笑みを作って、彼の首に腕を絡みつけて抱き着く。

浮いた頭を後頭部からそっと彼の大きな手が支えてくれる。

優しく優しく、だけど時に激しく、私を求めてくる。