「これでいい?」
「・・・・・・うん」
「可愛い」
小さく頷いた私の額にキスが落ちる。
思わず閉じた瞼の上にも。
そして、そのままそっと抱きしめられる。
彼の熱を感じて、胸が締め付けられた。
それと同時に、涙が一筋頬を伝った。
幸せだから?
ううん――。
そんな単純な感情じゃなかった。
切なさ、辛さ、虚しさ、寂しさ――罪悪感。
いろんな感情が胸を覆って、涙が止まらなかった。
だけど、そんな感情を上回るものが、あった。
やっぱり、私は悪女なのだと思う。
先程まで感じていた感情が、一気に吹き飛んだのだから。
「抱いて。一ノ瀬さん」
好き。の代わりにそう言う。
早く一つになりたかった。
誰よりも、彼が欲しかった。