柔らかな感触が唇を覆う。
こんなに柔らかかったっけ、なんて考えながら。
長い長いキスの雨だった。
まるで寂しかった時間を埋め合う様に、お互い無我夢中でキスをした。
そっと彼の背中に手を回せば、彼の唇が嬉しそうに弧を描く。
その姿が愛おしくて、私も同じ様に笑顔を作る。
「――っ」
すると、突然ひょいっと体を持ち上げられて驚く。
声を出す暇もないくらい一瞬にして彼の膝に乗った私は、目を瞬いた。
「もう・・・・・・ビックリした」
「そんな顔してる」
顔を赤くする私を見て、クスクスとまるで猫の様に顔を崩して笑う彼が私を見上げる。
いつもは私が彼を見上げているもんだから、なんだか不思議な感じがした。
それでも、まるで子供の様に私をぎゅっと抱きしめる彼を見て、一気に愛おしさが湧き上がり、彼の髪を優しく撫でた。