「人が来るよ」
「鍵閉めたから問題ない」
クスリと笑った私に、彼は悪戯っ子の様に顔を綻ばせた。
たまに見せるこうゆう表情に、いつも惹かれる。
頬を撫でていた手が顎先を通って、いつもの様に髪を優しく撫でる。
そして、真っ直ぐに私の手に重なり、テーブルの上で絡み合わせた。
その姿がなんだか可愛らしくて、思わずクスクスと笑ってしまう。
「珍しく甘えん坊だね」
「久しぶりに会えたんだから、これくらい許してほしいもんだけどな」
「手、冷たい」
「取引先の人間を外まで見送ってたから」
「お疲れ様」
温める様に彼の手を上から包むと、彼は嬉しそうに絡まる手を強く握った。
そして――。
「もう一回」
首を小さく傾げて、キスをねだった。