真っ直ぐに彼を見つめて、そう言う。
すると、少しだけ切なそうな顔をした彼が、私の頭を一度撫でた。
だけど、その表情だけじゃ彼が何を思っているのかは分からない。
何が本当で、何が嘘なのか分からない。
だけど、本当の気持ちは怖くて聞けない。
だから私も本当の気持ちは、言わない。
その想いに温度差が合った時、傷つくのは自分だと分かっているから。
『好き』を言わないのは、私が決めたルール。
彼の重荷にならない様に。
私だけが本気になって、いつか捨てられた時に傷つかない様に。
私が作った、小さな逃げ道。
私はズルイ女かもしれない。
だけど、いつか終わりがくる『その時』が怖くて堪らない。
どんどん好きになっていく心が、怖くて堪らない。
それでも――。