腕時計を見れば、まだ待ち合わせ時間の15分前だった。

じっとなんてしていられなくて、早々に会社を出てきてしまった。

久しぶりに会うもんだから、少しばかり緊張している自分がいて可笑しくなる。


ふと辺りを見渡すと、少し離れた所にショーウィンドウを見つけて駆け寄る。

薄っすらと映った自分の身なりを整えて、ふっと笑顔を作った。

その時。


「なんか欲しいものでもあんの?」


不意にかかった声にビクリと肩を上げる。

勢いよく振り返ると、スーツ姿の彼が不思議そうに首を傾げていた。


「バック?」

「え? あ、違う違う!」

「でも、じっと見てなかった?」

「本当違うの!」


ショーウィンドウの中を覗き込んだ彼の視線の先でアタフタとする。

なんだか無性に恥ずかしくて。