○後悔

ボクは彼女の手が
離せなかった。

初めて来た
彼女の住む町。
駅からは、
鮮やかな
イチョウの並木道。

彼女の駅から。
電車を降りてから。
ボクの不安は
強くなる。

彼女の家まで
数百メートル。
一歩一歩が
ボクの不安を
強める。

「今度きちんと話すから」

一軒家の玄関、
門の前。
彼女はがんばって
ボクに
笑顔を見せた。

ボクは苦しかった。

足早に駅に戻る。

彼女は一人
泣きたかったのでは?

頭の中で
ボクがボクに
質問を続ける。