○気持ち

帰り道、
今にも
泣きだしてしまいそうな
彼女に
腕をひかれ
電車に乗った。

「ごめんね」

彼女は
そう言うと、
ボクと手をつなぎ
押し黙った。

彼女の
手は少し冷たい。

ボクは困惑したが、
黙っているのが
一番いいような
気持ちがした。

下校の学生たち。
知らない
おじさん、おばさん。
線路のゆれに
逆らわず、
それぞれの思いに
馳せている。

ボクは
彼女が反対しても、
今日は
彼女を家まで
送って行こうと
心に決めた。