○残暑オタク

「私、残暑、好きなのよね」

新学期の始まり。

あまりの暑さ。
帰り道の散歩は、
アイスをかじる会に
変更した。

彼女の選んだ
イチゴ氷ミルクバー。
噛む時の氷が、
音が、
ここちいい。

天気のいい日。
すべての物の
輪郭は
とてもはっきりとする。

残暑は格別に
地上にその物の
影を色濃く映す。

彼女は
そこに時が止まる
瞬間があると言う。

熱中症じゃない?
なんて聞き返したら
はたかれた。

残暑をあなどっては、
見逃してはいけない。