「まあそこまで言うんなら別にいいけど、ばらまくのは半分以下にしてよね」
「なんで?」
「勿体ないだろ。いざというときに使えるように、ある程度は置いとくべき」
しっかり者のルイスがそう言うも、エリーは納得のいかない様子で唸る。
「もう要らないじゃない、十分持ってるんだから」
「一応、だって言ってるでしょ」
「全部皆にばらまこうよ」
「だーめ」
頑として譲らないルイスに、駄々をこねるエリー。
ついには二人の言い合いが姉弟喧嘩に発展しそうになったその時、ある人物が角からひょっこり現れた。
「お、誰かと思えばお前らじゃねーか」
「ボス!」
「ロベルトさん」
エリーはその男に喜々として駆け寄る。
ルイスはそんなエリーの後をゆっくりと歩きながら言った。
「お久しぶりですロベルトさん」
「ああ、2年ぶり、か?ったく、てめーら全然変わってねーな、近く通り過ぎただけで一発でわかった」
「ボクは大人っぽくなったでしょボス?」
「…エリーは逆に退化傾向にあると思うけど」
「そこまで言ってやんな、ルイス。」
男はどうやら二人と知り合いらしい。
エリーが懐いているので、それも相当な人間であろう。
「にしてもよォ、ちょっと見ない間にすっかり売れっ子になってんじゃねーか」
「まあ、成り行きです。ロベルトさんには及びませんが」
「ボスはボスだもんね!」
ロベルトが目を細めたところに、エリーが笑顔で言い放つ。
それを彼は苦笑いで返した。
「んなたいしたモンじゃねーよ、俺は」
「そんなことないよ!ボスは凄いよ?だって泣く子も黙る、ファミリーのボスだもん!」