「み……澪、大丈夫か…?」 と声をかけるも、疾うに、僕の声なんか聞こえてなんてはいなかったんだろう。 僕が最初に泥棒に気づいていれば、こんなことにはならなかったのか。頭の中で駆け巡るコンマ数秒こと。 その手を引いても、行かせるべきではなかったかもしれない。 「た、拓実(タクミ)さんッ!!!!!」 彼女は、走り出していた。