気づいた澪は、急停止した。
駈け寄ってきた澪の息は切れていた。
「ゆ、ゆうちゃん?!だ、大丈夫!!!?」
それと、同時に。
遠くから、野太い男の声が聞こえた
「あ゛あ゛あ゛ーーーーー」
二人して、その声が聞こえる方を見ると。
一人の若い男が、さっき通った泥棒の腕をぐるんと反一回転し、少し持ち上げていた。
泥棒の腕は、本来とは逆に曲げられつつあり、絶対痛いと端から見ても分かる程だった。
そして、泥棒の手からバックが落ちた。
若い男は泥棒の手を離すと、
どさっと泥棒は地面に倒れた。
それを見た、住民は一斉に拍手をした。
まるで、この街のヒーローを称えるかのようだった。
新鮮な光景だった。平凡な日常では見ることの出来ない光景だった。