先生が先に学校を去った。


「何でだよ!!何でだよ先生!!こんなのおかしいだろ!!」


オレは叫びながらその背中を追いかけようとしたら、多くの大人達が力ずくでそれを阻止した。

それでもどうにか振り払い、先生の後を追った。


「先生どうして……何で何も言わないんだ!先生は汚れてなんかない!!オレが、オレが全部悪いのに。

オレと先生の間に、確かに愛はあったんだ!今でもオレは……先生を……」


想いが込み上げて来て、うまく伝えられない。肝心な言葉が言えない。


すると先生が振り返り、涙いっぱいの瞳で、


「ありがとう一条君。

あなたも大人になったら分かると思う。愛してるから守りたいという思い。

今のままだと、未熟で愛と勘違いして、周りが見えなくて、望むばかりな恋をしてしまう。

本気で誰かを愛した時、人は一歩引くことを覚える。

愛の条件は、愛した相手が一番幸せじゃなきゃダメだから。

あなたが笑えば私はそれだけで幸せになれる。一条君には幸せになってほしいから!!

私に囚われず、輝かしい未来を掴んで!

そして私たちの事が懐かしく思えた時、確かにそこに愛はあったんだと、笑って話しながら過去を払拭させてほしい」


その言葉を残してオレの前から消えた。