その時の早川先生は、南がなぜ花の話を持ち出したのか、疑問に思っていた。
自分に何を言わせたいのか!?
「綺麗な言葉で飾られても、下心がそれをかき消してしまう。
言葉とその人の心が一致しない限り、関心すら持つ事はない。
言葉は誰かと張り合うために伝えるものじゃない。誰かの真似をしても意味がない。
南先生はなぜこんな事を?」
そう思いながら、
オレとの関係、幸せな反面、不安が過る。幸せよりそっちの方が大きいようだった。
罪悪感に苛まれる。
自分には、あり得ない世界だと思っていたことが、現実に起きているから。
取り返しのつかない事をしてしまった。
まして、教師である自分が……
分かっていても断ち切れない自分に苦しんだ。
オレに逢うと苦しんでる事よりも、また嫌なことも全て忘れさせるほど癒されたらしい。
仕事から外れると、ふと頭に思い浮かぶのは、オレのことだって言ってた。
「ちゃんとご飯食べてるかしら……」
そう思いながら、オレの笑顔だったり、声、仕草などを思い出していたと、それらをあとになってオレは聞かされた。