いくら待っても早川から南へ答えを告げに来る事はなかった。

南の早川に対するアプローチは続く。

小さなメモ書きに一言添える。

それを机の上に置いてある早川の教科書に毎日挟んだ。


・今日は元気ありませんね?

・今日の服とても似合ってます。

・真剣な顔、素敵です。

・お疲れ様!

・何かあれば言ってくださいね?


その他にもたくさん……。


早川先生の気持ちが分からないから、本心を言えないでいる南。

がついに、


「南先生、私は大丈夫ですから、それに何か相談事があれば話しますので、

どうかメモを挟むの止めてください。南先生の優しさは伝わってますから」


「そ、そうですよね?毎日鬱陶しいですよね?」


と困惑する早川からの言葉に、南は少し落胆した。


「いかんいかん、ガッツク男は見苦しい!大丈夫だ!絶対に大丈夫!」南は自分にそう言い聞かせた。