オレ等のやり取りを先生は笑って見てた。

そして、


「一条君、古文を理解するには、残念ながらひたすら暗記しかないの。

助動詞の接続は口に出して何度も繰り返し覚えるの。

今は覚えやすいように、歌に乗せて動画なんかも配信されているのもあるから、視聴してみて?」



「は、はぁ~……」


調子悪げに返事したものの、でも内心オレは嬉しかった!

先生の初めての授業に一番最初に自分が当たるなんて!

それに、わずかな時間だけれど、細やかな先生との繋がりが持てた。



先生は熱心に、生徒の声に耳を傾けた。

要望に応じて、要点をまとめた問題集をプリントして毎回作って持参して来た。

いつも手にはいっぱいのプリント類。

その問題集の最後にコメント欄を設けてあった。


「自由欄」


授業について分からいこと、何でもいいから書けって事だった。

言い返すなら、文字で先生とのコミュニケーションを図る事を意味する。