しかし笑ってしまうくらいに、オレと先生の関係は健全だ。

オレの部屋は誰もいないから、先生が来ることに何の問題もなかったのに、先生はそれを何より懸念した。

それは、どこで誰が見てるか分からないから。

いつ誰と顔を合わせてもおかしくない状況だから、極力、学校から離れたところで逢うようにしていた。

今を壊さないように、繋がった気持ちを大切にしたい。

ただそれだけ……


でもただ一度だけ、例外があった。

オレが風邪をひいて学校を休んだ時。

その時だけは先生は心配してオレのに部屋に来た。

あの日は高い熱を出して、ホントに起き上がれないほどだった。

そんな時の先生の訪問は、救いの女神なほど嬉しかった。

うなされていたであろうオレの傍にずっといてくれた。

アイスノンなんて持ってないのも分かってた!?

それをわざわざ持って来て、あらかじめ冷やしてあったのを頭に、とても気持ちよかった。

額には冷たいタオルを乗せて、それを何度も取り換えてくれた。

何となくぼんやりと記憶がある先生との会話。

目を開けると、


「何も気にしなくていいから、ゆっくりおやすみ」


と優しい声で髪を撫でてくれた。

オレは言われるまま目を閉じて眠った。

恥かしい話、この時なぜか、幼い頃母親に寝かしつけられた時の事を思い出していた。