「先生は南先生とつき合ってたんじゃなかったんだね」


オレは聞いてみた。


すると先生は、今までに見せたことのないような驚いた顔して、


「どうして?」


「えっ?だってクラス中じゃちょっとした有名な話だよ?

いつも二人で並んで歩いてるし、……この間だって教室で二人きり仲良く話してたから。

てっきりそうなのかなって。だからオレ……」


先生から少しだけ視線を外した。


「この間……!?

あぁ~、あの時は、うちのクラスで放課後補習をやってるから、

南先生のクラスの生徒も合同でさせてもらえないかと相談されてたの」


はっきりとオレの目を見て答えた。

そしてオレの気持ちを察したのか、伏目がちな笑顔で、肩で一息つくと、


「他の人とつき合いながら、あなたにキスするほど私はそんな器用じゃないわ?

確かに南先生は親切だし、頼ってる部分も多いけど、教師同士接してるだけであって、

南先生を男性として見たことはないわ」


真顔ではっきりとオレに言い切った。


「あなたが真っ直ぐ私を好きだと言ってくれたように、私もあなたが好きよ」


切ないほど優しい微笑みでオレに伝えてくれた。



一番欲しかった言葉を先生はオレにくれた。