「この際さぁ~、古文の勉強法でも聞いとけば?」


いきなり振り返り突然割り込んでくる女子!

こいつは梁瀬祐希と言ってオレの幼馴染。

面倒見はよく、どんなタイプの人間とも打ち解ける。

スタイルも悪くない、顔もそこそこ可愛い。

気が強いのが玉に瑕だけど!



「んぁ?いちいちうるせぇな?」


これ以上恥をさらされたくない会心の一言。



「徹君さ?まほしってなんだよ~っとか古文のときよく言ってんじゃん!

あ!あんな綺麗な先生から教わったら逆に!?頭に入んないか?」



コイツこの状況楽しんでやがる!——————


さらに言葉かぶせてくる梁瀬に、


「だいたい同じ日本人なのにわけ分からん言葉使うからだろ!!意味わかんねぇし!」


オレはぼやいた。


何より古文は苦手だった。

けど、梁瀬がこの場の雰囲気を一変させてくれたのは言うまでもなかった。

教科書を握りしめながらの、オレの恥を晒す沈黙の時間を失くすため。

彼女なりの優しさだ。


オレの緊張や動揺も消えていたし。