「約束したのに……嘘つき!」


オレはその言葉に梁瀬の顔を見た。


すると、恨めし気にオレを見てそのまま梁瀬は下を向いた。


「ホントごめん」


うつむく梁瀬にそれ以上の言葉を掛けられなかった。


きっと、先生とも出会わず、誰の事も想っていなかったら、梁瀬の思いにも応えられたのにな。

そして高校生活も楽しかったはず。


……!?


いや!それは違う!

梁瀬の事は妹のような感覚でしかない。

告られたから「はいそうですか!」なんて、梁瀬に対しても失礼すぎる。

それにそんな事をしたら、北嶋を裏切ることになる!

アイツの梁瀬への思いを知っていながら付き合うなんて、オレにはできない!

何考えてるんだオレ!一瞬でもそんな風に思った自分が嫌になった。

沈黙の中、頭の中で色々考えていたら、


「もういいや!ごめん、今の忘れて?」


突然梁瀬が笑って言った。無理してるようにも見えた。


「じゃね!」とそのまま階段を駆け上がって行った。


あ!……。


何も言えず取り残されたオレは、梁瀬を見送ることもなく階段を見つめてた。


「はぁ~」


帰り道、落ち葉を踏む音が妙に耳についた。

気付いたら無心で乾燥した落ち葉を選んで踏んでる自分がいた。