教室を出てから、後になって色んな感情が込み上げて来る。

結局オレも?内申とか気にしてんじゃん!!どうでもよかったら、何だって言い返せたのに!


自分に呆れた。


それに何だよ?才能があっても貧乏って。オレとどう関係があるんだよ。

恵まれた環境!? オレの?どこが!!

担任鈴木のオレに対する冷たい態度は、そんな理由だったのか。

しかも親父の事を引き合いに出すなんて。

オレの事を言われる分には構わない!だってホントに出来が悪いから。

けど、親父の事を他人が悪く言うなんて許せない!

他人に言われるほどムカつくものはない!

親父は一代でそこまで登りつめたんだ!

確かに放任かもしれない!

でも愛情がない訳じゃない!

高校だって行かせてくれてるし、オレのために生活費だって出してくれてる。

大学行きたいから家庭教師のお願いも聞いてくれた。

日本に残りたい気持ちもくんでくれた。

それに!オレが小さかった頃は、親父はとても優しかった……

大好きだった、親父の事。

けど、母さんがいなくなってから少しずつ変わって行った。

仕事人間になり、家にも帰らない日が多くなった。

親父の笑った顔も随分と見てないな……


思いが一気に溢れ出した。



今日の事、親父に言えるはずがない。

何なんだろう、このやり切れない気持ち。

きっと目標を見失った。

張りつめてた一本の糸がプツンと切れたように。

今やっていることは何の意味もない!

バカみたいに思えて来た。

こんな時に先生の顔が浮かんだ。


……!?


ダメだ。先生は南と……

二人仲良く話してる場面が頭を過った。

胸が締め付けられるほど苦しい!

一刻も早く学校を出たくて足早に階段を下りた。