やっとの思いで終えた一日のあと、早く帰りたいのに、罰ゲームでも残っているような地獄の面談!


他の連中は「緊張する~!」とか言ってたけど、オレはどうでもよかったから緊張はなかった。

ただ面倒くさい!帰りたい!それだけだった。


電気も点けず、窓から入ってくる陽射しだけを頼りにした薄暗さ。

何か出そうで、不吉な予感。

机二台分合わせて、担任鈴木と向い合せに座った。


奴の薄い唇が小さく開き動き出した。


「一条!このまま日本の大学へ行くつもりか?

父親のいるアメリカへ行った方がいいんじゃないか?

その方が楽だろう。

将来何も考えてないなら、約束されたレールを走ったらどうだ。

しかし、何のつもりで、息子一人大きなマンションに住まわせ、好き放題させてるのか理解に苦しむ。

放任主義のお国かぶれか?

ここは日本だ!勘違いするなよ!

お前は卒なくこなしているようだか、何か一つ秀出ているわけでもなし!

その中途半端さは社会に出ても路頭に迷うだけだぞ。

いや、お前の場合はそうはならないか。頑張らなくとも父親が何とかしてくれるか?

将来は父親の会社継げばいいんだからな?気楽でいいなぁ!

才能があっても貧乏で、それを発揮できなかった人間の気持ちなんてお前には分からんだろう!

デキの悪い人間のところほど金がある!無駄にな?

女にも困りはしないだろう?

私はお前のように、恵まれた環境で努力せず楽して生きてる人間が一番嫌いなんだよ!!

いいか?人生そんな甘くはないからな!」


はぁ?突然何なんだこいつ!?進路相談に何か関係あんのか?

担任鈴木の意図が分からい。


不服気な顔をしていたであろうオレに向かって、


「何だ?その目は!?内申に響くぞ!」


鈴木は淡々と表情一つ変えず言いやがった!

奴はオレが誰にも口外しないことを分かってて脅しやがる!

内申!その一言で思っていた言葉を全部飲み込んだ。

返す言葉のなかったオレ。

悔しい気持ちいっぱいあったのに……