「彼の事をそう思えるって言うのは、一条君自身も人の痛みが分かるから、
北嶋君の事をそう評価できるんじゃない?
人の気持ちに寄り添えるなんて素敵よ?誰にもできることじゃないわ。
共感とは違う。
その人の痛みを受け取って、自分の事のように相手を思う。
つまり、あなた自身も優しいって事じゃない!
それに一条君だってちゃんと周りを見てるよ?」
落ち着いた口調で優しく先生は返してくれた。
あまり褒められる事がないから、それに慣れてなくて変に照れくさかった。
「いや、オレは何も……」
「あら、そうかしら?
いつだったか、梁瀬さんが落ち込んで来た時、
一条君何も言わずそばで聞いてあげてた。
泣き出した彼女に、気を使って顔は見ずそっとハンカチ渡してた。
去り際に、頭ぽんぽんってしてたの、私見てた」
チラッとオレの顔横目で見て、先生はニヤリとした。