「授業中に他の事をするのは感心しないわね?でもその時間に集中出来ないって言うのは、私の教え方にも問題があると思うから反省する」


言い終わると先生はオレにノートを返してくれた。


「すみません……」


怒られる前提で職員室に臨んだから、少し拍子抜けした。

それに、先生が反省するなんて、今までの生徒歴の中で初めての体験だ!


帰ってから何気にノートを開いてみると、


「一目見て感動しました。

月下美人の花は一夜しか咲かない花。

ゆえ、限られた時間の中で懸命に咲き誇る。

一条君の二度と帰らないこの時間も大切にしてほしいです。

あと、

その絵から、絵に対する一条くんの情熱のようなものが、溢れ出ているように思えます。

また、その詩から花に優しく語りかけているような、

あなたの人柄が滲み出ているようにも見受けられます。

でも!絵の情熱は美術の時間にお願いします!」


青いペンで書かれてあった。


み、見たんだ!やっぱノート見たんだ……

突然小っ恥ずかしくなった。

部屋なのに一人で顔が熱くなってるのが分かる。

変な汗まで出て来た。


あの詩読まれたんだ!てか見るか!?読むか!?

しかもオレ、芸術の選択は音楽なんだよな~はは。

明日からどんな顔して学校行けばいいんだよ。

行けたとしても、先生の顔まともに見られない。