来た道をとぼとぼ歩いて戻った。楽しそうに歩く二人の姿思い出しながら。

ほんの一瞬だったけど、早川先生の横顔を見た。



「笑ってたな早川先生、オレの知らない五年分の笑顔?

あの笑顔のそばにいたのはオレじゃない。ずっとずっとそばにいたのは南先生だ。

……仕方がない。これがあの時の罰だ。

あの時早川先生に背中を向けて戻りもしなかったのは、紛れもなくこのオレだ」



後悔!?とも思われるような弱気な感情のまま、どれくらい歩いたろう、静まり返った降りしきる雪の中、気付いたら、自分の住んでいたマンションに辿り着いた。

熱出した時、早川先生が来てくれた事、学校まで一緒に通った事、夜コンビニで偶然会った事、昨日のように思い出された。

更にオレは思い出す限りの思い出の場所を歩き続けた。

そして、誰かと歩いてた、いるはずもない早川先生が以前住んでいたマンションに足が向いていた。

幾度となく通った早川先生の部屋、どんどん近付いて来た。


「早川先生の体に触れたのに思い出せない……

何やってんだろう、オレ。会場を抜け出してこの様か……?」


自分を腐しながら俯き歩いていると、向こう側から誰かが歩いて来た。

寒そうに、、首をすぼめて、マフラー正して。


「いや……見覚えのある姿……早川先生……!?」


先生はまだオレに気付いてない。