綿密な打ち合わせとリハーサルを繰り返し、イベントは思っていた以上に反響を呼び、成功裏に終わった。

オレは早川先生の事がずっと頭から離れず、逢いたい気持ちが抑え切れなかった。

「現実を受け止めるべき……」その言葉はオレの胸の中の不安を煽った。

切ない結果で終わってしまうのか、オレには可能性は残されていないのか、このまま離れる事が最善なのか。

いや、違う!オレはただ、早川先生に一目でいい、逢いたい!

例えこの再会が、オレにとって辛い結果になってしまったとしても、それはそれでちゃんと受け止める。

あの時逃げた罰も受けるから、だからもう一度だけ先生に逢わせてほしい!

早川先生の声が聞きたい!

オレは心から願った。

イベントの後の打ち上げも、心ここにあらずな挨拶や会話を交わし、盛り上がる会場の中、梁瀬を探し出し、早川先生の仕事先を聞き出した。



「きっとそこへ行けば先生に逢えるんだ!」



鼓動が熱く、速くなった。

もう走り出した気持ちは止められなかった。

心はもう早川先生の許へ向かっていたと思う。

五年前のクリスマス、早川先生からもらったマフラーをして。