孤独に苛まれ、暗いトンネルに逃げ込んだ。

新しいものを見ようともせず、明るい場所を嫌った。

オレの悪く癖が出た。ここでも発揮されようとしていた。

大好きな先生の事、気にしないようにして来たけど、やっぱり我に返ると先生がとてつもなく恋しくなる。


「こんな所で立ち止まってる暇はないのに」


不安と焦りが渦巻く中、その大学三年生の時、オレの悩みを払拭させてくれるような、出来事、転機が訪れた。

それは大学で出会った仲間と会社を立ち上げる話が持ち上がった。

工業デザイン、建築・インテリアデザイン、コンピューターグラフィックデザイン、ファッションデザイン、コミュニケーションデザインとオレを含めた五人が集結。

会社を立ち上げるにあたり、「ぜひ徹をメンバーに!」と一押ししてくれたヤツがいたらしい。

その推薦したヤツは、何を隠そう、あのリックだった。

まさかあの五人の中に、ましてデザインの学校にリックが通ってたなんて夢にも思わなった。

だって、高校ではラグビー部のスター選手だったし、てっきりそっち方面に進むと思っていたから。

そのリックが、コミュニケーションデザイン科に所属していたなんて。


「企業とのやり取りなら俺に任せろ!」と会社設立資金を見事大手企業から援助させることに成功した。

持ち前の人懐っこさと、コミュニケーション能力の高さ、頭が柔軟な事、リックはその才能を十分に発揮させていた。


「しけたツラしてんじゃねぇぞ!借りは必ず返すと言ったろ!」


そう言うとリックは、あの日のそよ風のように笑って言った。

何をするにも、突破口を開くのは自分次第なんだと分かった。

あの日、いじめられっ子がいじめっ子に立ち向かった日から、今日の事はずっと繋がっていた。

人も捨てたもんじゃないと思えた。