そんな殴られる毎日、ある日を境に、それを覆す出来事が起きた。

オレが彼女と仲良くするのが気に入らなかったんだろう。

オレの細やかな平穏も壊したかった?

誰がどこで調べて来たか知らないが、きっかけは、オレが転校して来た理由を、SNSで誰かが流し、個人情報から誹謗中傷まで、それだけじゃない、先生のことを面白おかしく、また、淫乱女教師と騒ぎ立てた。

聞かなきゃ分からなかったことを、リックが、言ってはいけない言葉をオレに言い放ったから。

ちょうど次の授業のため、ロッカーに本を取りに行って戻って来た時の事、



「お前、前の学校で教師とデキてたんだって?尻の軽い女にハマったのか?

大人しい顔してやることやるんだな?そこだけは一丁前か?さぞかし立派なもん持ってるんだろうな?

見せてみろよ!!」



リックは言うとオレのズボンを脱がそうとしたが、オレはすでにキレていた。

オレの事はともかく、先生の事を!!



「何も知らない奴が勝手な事を言うな!!」オレは叫んだ。



怒りと共に、あの日去って行った先生の哀し気な後ろ姿を思い出した。


「オレは先生を守るためにアメリカに来たのに……こんな所まで来て先生をオレは傷付けるなんて。

一体オレは何をやってるんだ!!」そう思ったら、へらへら笑って近寄って来たリックの胸ぐら掴んで、


「黙れ腰抜け!!人を本気で愛した事のもないクズ野郎に何が分かるんだ!

その前歯、二度と口がきけないようにオレの石頭でへし折ってやろうか!!」


顔面近付けて言ったオレに、血の気の多いリックは「腰抜け」の言葉にキレ、オレを殴り付けた。

オレは持っていたぶ厚い本で奴の二発目のパンチを交わし、痛みにうずくまるリックの顔面を蹴り上げた。