その通用口から女の人らしき人が出てくるのが見えた。


「早川先生……!?」そう思いながら慌てて後を追う梁瀬。


そのまま外に向かう通路まで走り抜け、右左確認すると、十メートル先にその姿が見えた。

期待と予想が確信へと変わる。


「やっぱり早川先生だ!」そう思いながら梁瀬は、また別の感情、不安と緊張が込み上げる中、足早に歩く背中に向かって思わず叫んだ。


「早川先生!!」


その人の足がぴたりと止まり、すぐさま振り返った。

もう一度梁瀬は名前を叫びながらその人の元へ走り寄る。

手に届く距離まで駆け寄り、軽く息を切らし両膝に両手を付く。

息を整えて梁瀬は顔を上げた。


「早川先生!たったこんな距離だけで息が上がるなんて運動不足もいいとこだ」


苦笑いする梁瀬。


「!?梁瀬さんなの?梁瀬さんなのね?どうしたの?こんなところに?」


うなずきながら梁瀬は、


「私先生に会いたくなって、ずっと待ってたの」


安心した早川先生は、


「そうだったの。わざわざ会いに来てくれてありがとう。

当時から際立ってたけど、さらに洗練されてより綺麗になったわね?

あなたの活躍は、テレビによく見掛けるから知ってるわよ」


変わらず笑い返してくる早川先生に安堵を覚えた梁瀬。


「早川先生」


「私はもう先生じゃないわ」


「私にとったら早川先生は先生だもん!それと、ごめんなさい」


「……!?なぜ謝るの?」