梁瀬は先生の働いているスーパーへ行ってみた。

すると本当に先生はそこで働いていた。その表情は必死で、それでいてキリっとしていた。

あの時と変わらぬ綺麗なまま。


「早川先生……」思わず呟いた梁瀬。胸が締め付けられた。


本当ならきっと教壇に立ってたよね?――――


早川先生の仕事が終わるまで、店内にあるレストランに入り時間を潰して待つ事にした。


「こんなに時間を持て余すなんて久しぶりだな」昼過ぎ、窓の外を見ながら人の行き交うのを見たりと、一人の時間を楽しんだ。

反面、どんな顔して早川先生に会おう、まずどうやって声をかけようか、色々とシュミレーションをしては悩んだ。

そうこうしているうちに、夕方六時頃になっていた。

「やっば!もうこんな時間だ!早川先生とすれ違いになっちゃう!何のために待ってたから分からないじゃん!」独り言を言いながら先生のいたところに戻った。

すると、先生はもういなかった。

梁瀬は辺りを見渡し、そして従業員に聞いた。


「すみません。ちょっとお聞きしたいのですが、ここでレジされている早川せ……さんて方どちらにいかれましたか?」


「早川ならもう上りましたよ」


「あ!そうですか。ありがとうございます」


梁瀬は一礼した後、店内を出て、外を探し回りそのまま従業員通用口の方へ急いで向かった。