「もしもし?梁瀬?」


「うん!久しぶり北嶋君。元気だった?」


「俺は元気だよ~!どした?急に?しかし久しぶりだな?梁瀬!お前の活躍はテレビで見ててよく知ってるよ!それと大丈夫か?」


電話口の北嶋の声はとても懐かしく、心配してくれる彼の声はとても優しかった。

「あの時振った北嶋君も辛かったはずなのに、傷付けれたら相手にどうして優しく出来るんだろう」泣きそうになりながらそう思った梁瀬。

北嶋の言葉は、胸にじんと来た。


「うん、大丈夫!心配してくれてありがとう。何気に連絡先見てたら、北嶋君の名前があって、何か声が聞きたくなって……番号変えてなかったんだ?」


「そか。嬉しいぞ!大丈夫ならいいんだ!番号は変わることないと思うから、何かあったらいつでも電話して来い!」


「うん。ありがとう北嶋君。ごめんね?」


「ん?何の事だ?」


「高校の時、私、北嶋君傷付けたのに、北嶋君の気持ち考えもせず、振り回して甘え続けてた。挙句他の人が好きだなんて……」


「ふ!いつの話だよ?もう遠い昔の話だし、とっくに傷は癒えてるよ!バカだな~そんな事気にしてたのかよ~あれはあれで青春って感じ?笑って話せるよ?」


「北嶋君……」


「何だよ梁瀬泣いてんのかよ?やっぱあの噂の……」


「ホント大丈夫だから」


「うん。お前がそう言うならもう何も聞かないよ」


「……」


「あ!一条が何か雑誌に載ってたよ、アイツすげぇな?やりやがったな?」


「うん。北嶋君だって凄いじゃない。あの有名な大学に出て、一流企業に入って頑張ってるじゃない」


「あ!知ってた?ぷ!」照れ隠しに笑った。


「高校の時の友達から同級生の情報は入るから。凄いなってホント思ってた」


「素直にありがとう。それと~早川先生は、あの大手スーパーのレジしてるよ。教える仕事を探したみたいだけど、ことごとくダメみたいで……あれからずっと早川先生をナル南が支えてる。もしかしたら二人結婚するかもな」


「え!?そうなの!!それ一条君知ってるの?」


「たぶん。SNSは送り続けてるけど、アイツからの返信はない」


「そうなんだ」


早川先生の近況と居場所を聞き出した梁瀬は、思いが込み上げ、居ても立っても居られなくなり、早川先生の元へ走り出しだ。