仕事をしていない間、ずっと家にひきこもっていた梁瀬。

無気力で何とか生きてる状態だった。

そんな時ふと、一条の顔を思い出した。


「徹君元気にしてるかな?」


ベッドの脇に両足抱え座り、ふと高校生だった時の事を久しぶりに思い返した。

そしたら早川先生の顔も浮かんできた。

今なら、あの時の早川先生の気持ちが分かるような気がした。

そう思ったらとてつもなく早川先生に会いたくなった。


「あの時、どうして何もできなかったんだろう。できることはあっただろうに。

早川先生には背中を向けたままだ……謝らないと」


学校を辞めて行った早川先生の気持ちを思うと、今の自分の気持ちが重なり泣けて来た。


色んな事が思い出されてきた。


「徹君にフラれた時、北嶋君が側にいてくれたな」


そして北嶋との思い出でも蘇った。


「彼にも随分と無神経な態度を取って来たな。私、自分勝手なことばっかりして来た。

自分の気持ちばっかり押し付けて、周りが見えてなかった」


スマホを見るとまだ北嶋の連絡先が残ってる。

緊張しながらも思わず電話をした梁瀬。