しばらく梁瀬の事務所側は、沈黙を守っていた。

そのせいで、マスコミの報道、記者陣は平林の方に殺到した。

平林は標的となり、連日追いかけ回されて、まるでタレントのようだった。

平林の行く先々で記者が群がる。


記者「親密な関係であった事は間違いないですね?どのくらいお付き合いされてたんですか?」


平林「そうですね。親密な関係であったのは間違いないです。つき合った期間は、彼女がモデルの仕事を本格的に始めたころですから、二、三年ですかね」


記者「梁瀬さんには、結婚してると言わなかったのですか?」


平林「……そうですね」


記者「なぜですか?」


平林「話そうとは思っていました。言う機会を失ったと言いますか、言う前に世間にバレてしまいまして」


記者「バレて!?何か簡単に思ってませんか?奥さんや相手の方に悪いとは思わなかったんですか?奥さん意外の女性と浮き名を流すことはステイタスだったんですか?」


平林「……」


記者「梁瀬さんの事は遊びだったんですか?どちらを愛していらっしゃるんですか?」


平林「遊びのつもりはありませんでした。どちらも愛しています!今はそれしか言えません!」


その答えに記者達はざわついた。


記者「でした?今後どうなさるおつもりですか!?」


平林「……」


記者達に揉みくちゃにされながら、何も言わず足早に去って行った。