そんな中でオレは、どんな些細なことでもよかった、先生と話すきっかけを探した。

先生が両手いっぱい荷物持って歩いて来るのを見つけて、


「先生~大丈夫?一緒に運ぶよ!」オレは先生から受け取り、


「早川先生!どんどん使って?特に一条を!」


と調子よく北嶋も応えてくれ、先生に駆け寄った。


荷物を運ぶのは建前で、先生との距離を縮めようとした。


「二人ともありがとう~」


先生は先生として生徒に返す当たり前の言葉。


少なくともオレはそうじゃない。

オレが今できるのは、先生の話す姿を見つめるだけ。

時折オレと視線が合っても、先生は何も意識することはない。

オレ一人だけ心躍らせてる。

でもオレはそれだけでもとても嬉しかった!


幸せな一時なんだ。


オレは、先生の中に印象を誰よりも残したくて、視線が合えばすぐ外してみたり、

聞いてない振りして聞いてたり、授業の余談話には、

「マジか~!?」 「すげぇな?」なんて反応してみたり。


先生に少しでもオレの存在を印象付けようとした。

度々?目が合うのは気のせいかもしれないけど、きっとオレの顔は緩んでたはず!