「でも、あんま調子には乗るなよ。
お前って自覚したらめんどそう」
「めんどそう……って。
じゃああたしは可愛くないと謙虚でいればいっか」
どうしたらなっちゃんみたいに無自覚でいられるのだろう。
確かに大して可愛くもないのに、調子乗ったらそれこそ叩かれる。
「それはまあそうなんだが……まあいいや」
「え、何それ。気になるんだけど」
「いいの。お前は分からなくていい」
「ひど!」
それから何度も聞いても、答えてくれなかったからあたしは折れるしかなかった。
「あのさ、これからも友達でいてくれるか?」
「そんなの当たり前だよ!
あたしも同じこと考えてたの!」
「うん、それは良かった」
安藤と話せなくなったらどうしようって思ったから、嬉しさ倍増だ。
「もう暗くなっちゃったね」
「そうだな」
冬になって、最終下校時刻までまだ時間あるのに空は真っ暗だ。
……寒い。
手袋持ってないから手がかじかんじゃう。