「じゃ、清家さんここで」


「うん! バイバーイ!」



両手挙げてぶんぶん手を振ると、久我くんは視線に気づいて



「……!」



小さく手を振ってくれたのだ。



よし今日はこれだけでも乗り越えられる!



あたしはにやけずにはいられなかった。




「あ……」



そして、久我くんと別れて教室に入ると、安藤とパチリと目が合ってしまった。


安藤は気まずそうにすぐに視線を逸らす。



「安藤!」



あたしがそう呼ぶと、信じられないと言った顔でこちらを見る。



「今日、放課後ちょっとだけいい?」


「……うん、いいよ」


「っ! ありがとう!」



良かった……。



「じゃあ……また後で」


「うん」



安藤の机にある本を見て、読書中だと分かったあたしは安藤から離れて、自分の席についた。