「ありがとうございましたー」
店員さんの声を背に向けて、アニストから出たあたし達。
「すぐお金返すから、ちょっと待ってて」
「いや、今日誕生日だろ? お前」
「確かにそうだけど……だからってわざわざ大丈夫だよ!」
「俺からのお祝いってことにしてくれよ」
だって、これ割と高かったのに。
安藤に申し訳ないよっ。
「ほら、誕生日おめでと」
「……ありがとう」
でも安藤は折れるつもりがないようなので、ここはあたしが折ることにした。
日が暮れ夜になって、そろそろ帰ろう思った時だった。
アニメズストアの帰り道で、久我くんのバイト先の本屋があることに気づいた。
こんなに近かっただなんて……。
「……元気そうで良かった」
「安藤?」
安藤は失恋したあたしを心配して、今日誘ったのかな……?
ってそれはあたしの勝手な憶測にすぎないけど。
「……安藤は優しいんだね」
「どうした急に」
「ううん、何でもない!」
「何だそれ」と呟いて、あたしの歩幅と合わせながらゆっくり歩く安藤。
……ほら、やっぱり優しい。
本屋を見ると、カーテンは閉じてたけど電気はついていた。
閉店後のお掃除タイムって言ったところかな。