メールの差出人は『主催者』という名の人物からだった。


・・・が、その名前を何回タッチしても何故かアドレスが表示されない。
返信画面を開いて空メールを送ろうとしても『宛先を入力してください』とエラーメッセージが出る。

こんなの、普通出来るの・・・?

じゃあ、と画面をスライドすると、こっちのアドレスはちゃんと表示された。
どうやらそのメールはクラスメイト全員に送られているらしく、あたしも含めて34人のアドレスが表示されている。

――っと、こんな事をしている場合じゃなくて。
あたしは全文表示の操作をすると、小さく声に出して読み始めた。

「えーっと、このゲームは皆様にも出来るとても簡単なゲームです。
ルールは、今から一ヶ月以内にクラス全員で贄を決め、こちらが指定した教室に閉じ込めるだけ。
規則はただひとつ、逃げ出さないこと。
さぁ、皆さんが誰を選ぶのか、楽しみに待つことにしましょう。

それでは、皆さんが決めた頃にまたメールしますね。

             主催者より。

・・・・・・ふーん、面白そう。なんて言っちゃダメか」

メールを読んだクラスメイトが騒ぎ出し、先程から教室内は静寂とは程遠い環境になっていた。
廊下にまで漏れているんじゃないかと思う位に騒いでいるグループもある。

しかもそのグループが集まっている机とあたしの席はそれほど離れていない為、あたしは更にうるさいと感じる羽目になっていた。


席替え、したい・・・。
まぁ、今の状況じゃ席替えしたってあまり変わらないだろうけれど。

そう思いながらため息をついている間にも、スマホにはあたし宛のメールやメッセージがどんどん受信されている。