「あたし、本当にシークレット当てたんだ・・・」
小さくそう呟いてから慌てて今の言葉が瑠菜達に聞かれていないか確認すると、あたしは鞄の中にストラップをしまった。
シークレットが出た・・・なんて言ったら、絶対「交換して!」とかなりそうだしね。
別に物々交換するのが嫌だ、って考えでも無いけれど、自分で手に入れた物は大切にしたい。
――まぁ、どうせなら推しがいいって気持ちも分からなくは無いけれどね。
「・・・・・・ねぇ、文はどう思う?」
いきなり振り返った柚子にそう訊かれたけれど、ストラップに夢中で皆の会話を全然聞いてなかったから内容が全くわからない。
「・・・ごめん、ちょっと考え事してて。何の話してたの?」
正直にそう言うと、未筝が「ほら、今日何人か休んでたでしょ?あれの理由についてうちらで色々と想像してんの」と教えてくれた。
「んー、サボりじゃないの?ほら、あいつらならやりそうだし」
とりあえず、思いついた事を述べてみる。
「やっぱり文もその考えだったかー・・・。まぁそれが一番高い、かもね」
そう柚子が言った直後に「あ、でもだったら今までも何回か同じ事が起こってそうじゃない?」と思い付いた様に瑠菜が呟く。
「――っとごめん。あたし今日は寄らなきゃいけない所があるんだ。じゃね、また明日」
そう言い残して、駆け出した未筝。
未筝が途中で抜け出すなんて事は今まで無かったから、突然の出来事に柚子も瑠菜もポカンとしている。
あっちは確か・・・商店街と総合病院があるんだっけ。
商店街は登下校で毎日通るし、総合病院はまだ行ったこと無いけれど、この地区で大きな病院の内のひとつだから名前位は知っている。