だから、あたしの友達は皆一度も会ったことないみたい。
どこの病院に入院しているのか調べる方法も無いし、自宅に押し掛ける訳にもいかない。
・・・まぁそもそも自宅の場所も知らないんだけれど。

「でもさぁ。本当にあの子、入院してるのかな?」
柚子はあたし達の方に向き直ると、そう口にする。
「だってさ、病気だ~って学校に嘘をついて本当はずっと家に引きこもっているかもしれないじゃん?だから入院している病院の名前も言わないんじゃないかな」
机の上に腰かけてスマホをいじりながら疑り深くそう言った。

・・・でも、それだったら別に病気だってあたし達に伝える必要無くない?
ただ普通に「今日は休んでる」と言えばそれで済む事だし。

柚子が話したその考えに誰かが何かを言おうとした時、始業時刻を知らせるチャイムの音が教室中に響いた。
と同時に、担任が教室に入ってくる。

「ほいお前ら、席つけー。さっさとホームルーム始めんぞー」


今年のクラス担任は自称20代後半の男性教師で、担当している教科は英語。
教えるのは上手いと生徒には評判なのだけれど、本人にやる気は0。そして現在彼女、もしくは結婚相手を大募集中・・・と先月発行された校内新聞のインタビュー記事に書かれていた。

・・・高校生相手に堂々と彼女とか妻を募集するのもどうかと思うけれど。


「あ、そうだ白川。今日お前が日直なー」


・・・・・・はぁ!?
唐突に言われたその言葉に、驚きを隠せない。

「ちょ、ちょっと先生!あたしの担当明日ですよ!?」
思わず立ち上がってそう反論するが、まだ佐野が来てないんだから今日の日直は必然的に出席番号が次のお前になるだろ、と正論で突き返される。


・・・仕方ない、今日だろうと明日だろうと結局あたしの順番は来るんだし、こうなったらやるしかないか。