「さっき紗織ちゃんが話していた時の最後の方で、文ちゃんが一安心したかのように胸をなで下ろしたのが目に入ったんだけれど」


――わたしの見間違い、じゃないでしょう?



・・・やっぱり気づかれてたか。こっそりやったつもりだったんだけれど。

疑問が生じた時とか何かに興味津々な時の心菜ちゃんは大体、観察眼が鋭くなる。
その証拠に、英語はあたしの最も苦手な科目だし、ドイツ語も別に好きじゃない。
・・・というか、瑠菜から意味を聞かなかったら、多分そんな事は気にもしてなかったと思う。

ここで再び嘘をつけば、更に疑われるどころかきっと全部見抜かれるだろう。


・・・だけれど、なんか納得できない。
心菜ちゃんの言った事は全部合ってる。それなのに、どこか認められない自分がいる、と言うか・・・。

とりあえず、ここは話を逸らすことにする。
生け贄ゲームから離れていなくて、何か良い話題は・・・・・・そうだ!

「でも、最近のインターネットってそういう翻訳した言葉が載ってるサイトもいくつかあるよ。管理人とか、編集した人が個人で調べたとか、そういう類のだろうけれど」

ここに来てから今まで、メールが届いたなんて言葉は一度も口にしていない、という事に気がついたのだ。
・・・ということはまだ、インターネットから引き出した情報を二人に伝えている、って事にも出来ると思う。

これで反論は出来ない筈、と少しだけ得意げにそう伝えた・・・のだが。
あたしのその言葉に首を振ったのは、なぜか心菜ちゃんじゃなくて紗織さん。


「それがね、あたし達もさっき調べたんだけれと、そんなに詳しい情報はどこのサイトにも載ってなかったんだ」