ベッドから起き上がって、格子のついた窓の外を見る。
有刺鉄線が張り巡らされた塀に覆われている敷地。
遠くに山が見える。車は通っていない。田舎道。こんな田舎、市街地に出て、仕事をする。
まるで、お腹の空いたイノシシやクマみたいだ。
でも、奴らは強い。力を持っている。
人が恐れるほどの力だ。
でも、人は対応できる。猟銃で殺すことも、麻酔銃で眠らせてから殺すことだってできる。
ただ、生身だと、イノシシやクマの方が遥かに上。
武器を取られたら、あとは力勝負。
私の細い腕を見る。手首は親指と中指がくっつくほど細い。
でも、この細い腕から強いパンチが打てれば、武器になる。
ボールペンの先で刺すのと、シャーペンの先で刺すのとでは、後者の方が痛い。