窮鼠猫を噛めなかった私は、始業のチャイムと共にトイレを出た。 悔しさが拳となって、手のひらに爪を食い込ませる。 私だって好きで教室を飛び出しているわけじゃない。 奇病にかかっているんだ。 そんなことも知らないで、フッ、可哀そうな人たち。 と思えば思うほど、爪が食い込んでいく。深く、深く、食い込んでいく。