言いかけたら、唇を塞がれた。

突然の出来事に頭が追いつかなくてまたしても数秒間フリーズ。


「甘いな。病みつきになりそー」


こちらを見ながら凛くんがニヤリと笑う。

一気に体温が上昇して目が眩んだ。


「何真っ赤になってんだよ。花野井がしろって言ったんだろ」

「い、いった!言った、けど……まさか本当にしてもらえると思わなかったから、幸せすぎてどうにかなりそう………」


こんなの、心臓がいくつあっても足りないよ。


好きで好きでたまらなくて、気持ちが届いてほしくて、凛くんが抱えてるものを受け止めたくて、毎日必死だった。


私はね、凛くんを好きになったからこんなに強くなれたんだよ。


幸せを噛み締めるように凛くんを見つめると、ゆっくりこちらに近づいてきて。




「これから嫌ってほど甘やかしてやるから覚悟しろよ──────“静香”」




王子様の甘い囁きが私の耳元に響いた。




fin.