「そーいや結局花野井のクッキー結局食いそびれちまったなー」


ふと、思い出したように凛くんがため息を吐く。


「仕方ないよ。割れちゃってたからね」


“あの後”一応取りに戻ってみたものの、クッキーは既に原型を留めていなかった。


まさか1回落としたくらいでボロボロになっちゃうなんて……。

作りの甘さに自分でもちょっと引いた。下手にも程がある。


「流石にどうかしてたわ。せっかく作ってくれたのにごめん」

「んー、凛くんがキスしてくれたら許してあげよっかな〜」

「は?キス?」


あ、やばい。

さすがに調子乗りすぎ?


彼女になれたのが嬉しくて仕方なくて、つい口が滑ってしまった。


「いや、今のは冗談で──────」